とある中小企業診断士のブログ

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国内スマホゲーム市場の春は終わり。ゲーム業界の次のトレンドは?注目分野3選

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はじめまして、とある診断士です。

初投稿ということでそれらしい話でもしようかと思いましたが、それはそれで面倒ですし、淡々と描きたいことを綴りたいと思います。

 

本日は国内スマホゲーム市場ひいてはゲーム業界の今後に関するお話。

 

ここ数年で一気に立ち上がった日本のスマホゲーム市場。いまやその規模は約6000億円といわれ、約3200億円(ファミ通発表の2015年速報値より)である家庭用ゲーム市場をあっという間に抜き去っていきました。倍です、倍。

パズドラモンストあたりはゲームを遊ばない方でも名前ぐらいは知っているという大ヒットを記録しましたし、これら以外にも、月商が億を超えるタイトルの話をたくさん耳にします。DeNA守安社長曰く、アプリストアの売上ランキングで100位以内にはいれば月商1.5~2億円は出るそうです。

 

これだけ聞くと何とも景気の良い話ですが、国内スマホゲーム市場の我が世の春とも呼ぶべき時期は終わりを迎えつつあるのではないでしょうか。

 

2015年前半だけで有名IPを含む224タイトルが終了。国内市場はすでに頭打ち?

www62.atwiki.jp

光があるところには影があるといいますか、大きく稼ぐタイトルがある一方で、泣きを見ているタイトルもこんなにたくさんあります。ある程度稼いだタイトルならまだしも、この中には、全く日の目を見ることなく人知れず消えていったタイトルもきっとあることでしょう。

スマホゲームには基本的にゴールがないですし、ユーザーが費やした時間がそのまま資産になる(そしてその資産は他のゲームでは使えない)ので、ユーザーが遊べば遊ぶほど、後から出てきた別のゲームに乗り換える心的ハードルが高くなります。

急成長するスマホゲーム市場の熱気にあてられて多くの会社が参入しタイトルはどんどん増えていますが、残念ながらユーザー1人ひとりがゲームを遊べる時間には限りがあるため、明暗はくっきり分かれます。

ゲームユーザーの母数自体がうなぎ上りだった頃は良かったのですが、さすがにそろそろ厳しい頃合いです。セガゲームスの岩城上席執行役員も次のようにおっしゃっています。

市場は成熟してきていると感じています。既存タイトルのダウンロード数は伸びていないですし、新しいタイトルが割って入ってくるのも益々難しい状況であると思います。我々は、新しいタイトルを次々と送り出せているほうだと思うのですが、単純にマーケットが混んでいると一言では片付けられない市場となっています。

(引用元:【年始企画】「低コストかつ迅速な海外展開を」…昨年複数のヒット作を生み出したセガゲームスが次に見据えるのは “世界に通用するタイトル”の創出 | Social Game Info

 

開発費などの高騰も激しく、中小・ベンチャー企業はもはや勝負できる市場じゃない。

いまが市場のピークであるならば、これからパイの奪い合い合戦が待っているわけですが、国内のスマホゲーム市場に限っていえば、もはや中小・ベンチャー企業ではお話しにならないと思います。というのも、開発費などの高騰が激しすぎるのです。再び岩城氏の言葉をお借りします。

初期開発の費用だけではなくマーケティング費用、運営開発の費用、このあたりを足すと、国内だけで初年度15億円、テレビCMを打ったら20億円超えもありえると思います。また、投資できる企業と、そうでないところが鮮明に出てきています。

(引用元:【年始企画】「低コストかつ迅速な海外展開を」…昨年複数のヒット作を生み出したセガゲームスが次に見据えるのは “世界に通用するタイトル”の創出 | Social Game Info

昨年(2015年)頭の同企画で、コロプラ馬場社長が「1タイトルにつき開発費+マーケティング費で5億円欲しい」とおっしゃっていて私は腰を抜かしたのですが、この1年で3倍になっていました。もちろん、語り手が違うので単純に比較はできませんが、最近の各社の様子を見ているとありえない話ではないと思います。

開発費をかけてクオリティの高いゲームを作り、宣伝費をかけて必死にユーザーに認知させなければ、なかなか遊んでもらえないということなのでしょう。

また、やっぱりエンタメの難しい側面として、何がユーザーに刺さるかは蓋を開けてみないとわからないというところがあります。もちろん確度を高めるためにクリエイターが日夜頭を絞っているわけですが、究極的にはどれだけ打席に立てるかという勝負になってくると思います。(1つでも当たればこけた分も含め回収できますし)15億円の予算で複数ラインを組むのは大企業ならば何とか出来るでしょうが、中小・ベンチャー企業はそうもいきません。

なけなしの予算ですら大企業の1本分に届かないだろう状況で、中小・ベンチャー企業が今後の国内スマホゲーム市場で戦っていくのはリスクが高すぎるといえるでしょう

国内スマホゲーム市場の春はもはや終わりました。

 

ゲーム業界に夢はないのか。いや、きっとある。

Aiming椎葉社長「ピークが来て、市場環境が厳しくなるということは、次の成長の始まりやチャンスがやってくるということでもあります。ゲーム業界として、今は厳しい状況でも、これからまた新しいチャンスがでてくるということです。2012年に、『パズドラ』が出始めた時、月商百億円、数十億円になるとは誰も予想していませんでしたよね。その意味で前向きなタイミングが来たような気がしています。」

(引用元:【年始企画】「スマホゲーム市場はピークに近い。次の"軸"を待つ局面に」 Aiming椎葉社長に2015年の振返りと2016年の展望を聞く | Social Game Info

ゲーム業界の歴史を振り返ると、だいたい3~5年のサイクルで市場が上下するという傾向が見えてきます。厳しい状況が来ても、その度に新しい何かが生まれ、成長してきました。近年で例をあげるならば、ニンテンドーDS⇒モバグリ⇒スマホゲームという流れです。中小・ベンチャー企業は虎視眈々と次の波を見極めましょう。

 

最後に:ゲーム業界の注目分野3選

最後に、私がいまゲーム業界で注目していることを3つほどご紹介しておきます。誰かの何かの参考になれば幸いです。

①PCゲームのダウンロード販売プラットフォーム「Steam

gigazine.net

詳細は上記記事に譲りますが、とにかくいまこのプラットフォームが伸びています。2013年ぐらいから配信タイトル数が一気に増え、2015年4月~12月の合計売上は29億4700万ドル(約3500億円)まで来ました。

e-SPORTS

www.mag2.com

世界では非常に盛り上がっている分野ですが、日本ではまだまだこれから。とはいえ関連企業も徐々に増えてきており、業界全体で盛り上げていこうという機運が高まってきておりますので、今後の展開に目が離せません。国民的ゲームが出れば一気に花開くと思います。 

③VR(バーチャルリアリティ

やっぱりこれです、VR!

今年のTGSでも大層盛り上がっておりました。一般に普及するにはまだまだかかりそうですが、何て言ったって夢がありますよね。SAO(ソードアート・オンライン)の世界が早く現実にならないものかと今からわくわくしています。