とある中小企業診断士のブログ

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中小企業診断士試験の難易度について考える。1年でストレート合格するのは本当に難しいのか。

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先日、日経新聞に次のような記事が載りました。「中小企業診断士」資格が取得したいビジネス関連資格のトップに躍り出たそうです。

(本当に?その割にはあまり中小企業診断士という資格・職業を知っているという方に出会わないのが不思議なものです。そのあたりは我々がもっと頑張らなくてはなりませんね。)

www.nikkei.com

取りたい資格で首位の中小企業診断士経営コンサルタントを認定する唯一の国家資格で、中小企業の経営診断・助言を担う。合格率約4%と難易度は高いが、経営全般に関わる知識を習得できるため会社員や公務員など幅広い業種で人気を集めている。将来のポストに不安感を抱く会社員らが、昇格や独立への備えとして取得するケースが増えていると見られる。

(引用元:中小企業診断士トップに 取得したいビジネス関連資格 本社など調査 やはり英語、簿記上位 :日本経済新聞

確かに中小企業診断士試験において勉強する科目というのは、(ポジションにもよるでしょうが)会社員として知っていると役立つ知識が多いため、勉強しようという気になるのもわかります。そういう意味では取っ掛かりやすい資格であるといえるでしょう。

参考:一次試験科目
  • 経済学・経済政策
  • 財務・会計
    • 会計、ファイナンス
  • 企業経営理論
    • 経営戦略論、組織論、マーケティング論
  • 運営管理
    • 生産管理、店舗管理
  • 経営法務
  • 経営情報システム
    • 技術情報、経営情報
  • 中小企業経営・政策
    • 中小企業経営、中小企業政策

それでは、いざ資格取得を志したとして、実際の試験難易度はどれぐらいなのでしょうか。「1年でストレート合格する」という前提に立った際の私なりの見解を述べたいと思います。

 

データで見る試験難易度。合格率は4%!?

私見を述べる前に、まずは一般的な認識について確認させて頂きます。

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(出典:中小企業診断協会発表資料より筆者作成)

こちらは中小企業診断協会が発表している試験合格率の推移です。このとおり、一次試験と二次試験の合格率はいずれも約20%となっています。

資格取得には当然どちらも合格しなくてはならないため、両方をストレートに合格しようとした際の合格率は約4%となります。100人受験して4人しか合格しないわけですから、この数字だけを見ると難関資格といえるでしょう。

しかし、それでも合格者のうち実に27%が1年以内にストレート合格を果たしているのも事実です。

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(出典:合格者データ - 中小企業診断士 | 資格のことなら合格のLEC

1年でストレート合格するのはそこまで難しい話ではない。

そして、実際に1年でストレート合格をした私の実感を問われれば、ストレート合格のハードルはそれほど高くないと思います。但し、それには3つほど条件があります。

  1. 学歴がMARCHと同等かそれ以上である
  2. 勉強時間が十分に確保できる
  3. 読書の習慣がある

それぞれ見ていきましょう。

1.学歴がMARCHと同等かそれ以上である

これは何も本当にその学歴が必要という意味ではありません。私が思うに、MARCH以上の大学に入れるひとは、①地頭がある程度良いもしくは②勉強という行為に慣れているのいずれかの条件を満たしていると思います。もちろん、両方当てはまる方もいるでしょう。

そして、これがそのまま中小企業診断士試験にも生きてくるのです。というのも、こういってしまうと元も子もないのですが、結局はペーパー試験ですから、「勉強が得意なひとが有利」なのです。

ちなみに、念のため補足しておくと、MARCHは首都圏の有名私立大学5校を指した略語で、【M=明治大学/A=青山学院大学R=立教大学C=中央大学H=法政大学】からそれぞれ頭文字を取っています。

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(出典:大学以外からの大学院進学情報|大学院入試コース|中央ゼミナール

2.勉強時間が十分に確保できる

いくら勉強が得意であっても、流石にまともに勉強しないで受かるほど甘い試験ではありません。いかんせん試験範囲が広いからです。

先ほど参考として挙げた一次試験科目を見ればわかる通り、中小企業診断士試験は科目の幅が広いことも特徴のひとつです。全科目のテキストなり問題集なりを1周するだけでもかなりの時間を要します。

受験勉強期間である1年間、少なくとも、平日:2時間/週末:土日合わせて10時間程度の勉強時間を稼げないようであれば、正直受験するだけ無駄だと思います。仕事なり家庭の事情なりで必ずしも毎日思い通りにはいかないかもしれませんが、何とかこれぐらいは確保しましょう。もちろんこれは最低限の目安であるため、集中力が続くのであれば多いに越したことはありません。

この「集中力が続くのであれば」というのもポイントで、個人的には、時間の使い方として、だらだら勉強するぐらいならいっそ好きなことをしてリフレッシュする時間をとった方が有意義だと思います。実際、私は試験直前期も含め、毎週末飲みに出かけていました。メリハリは大事です。

ちなみに、試験科目から文系理系両方の素養を求められることについて心配する方もいらっしゃるかもしれませんが、広く浅くの試験ですので、深さがない分苦手科目についても時間をかければ問題ないと思います。

3.読書の習慣がある

中小企業診断士試験について語る際に、読書習慣について触れるひとはあまりいないと思いますが、個人的にかなり肝だと考えています。なぜなら、この有無で勉強の効率にかなり差が出るからです。

これは単純な話で、結局のところ、テキストを読むのも問題文を読むのも、活字に慣れているひとの方が圧倒的に早いのです。であれば、より短い時間で情報を処理できる分、勉強の効率に差がでるのは火を見るよりも明らかで、また読解力にも差がでるでしょう。

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更にこれは地味に二次試験にも効いてきます。詳細は割愛しますが、中小企業診断士試験の二次試験では、そこそこ長めの文章を読み、それについて論述するということが求められます。試験時間は1科目につき80分与えられていますが、受験生当時、周りの話を聞くと「足りない」と言っている方が多かったように思います。でも、文章を早く読めさえすれば、時間配分について心配することは何もありません。

まとめ

今回の話をざっくりまとめてしまえば、「もともとある程度勉強が得意なひとが、ちゃんと時間をとって真面目に取り組めば、1年でストレート合格するのは難しくないよ。読書好きだと更に確度があがるよ。」となります。当たり前といえば当たり前ですね。但し、これはあくまで1年でストレート合格する場合の話です。

中小企業診断士試験の一次試験には科目合格制度がありますので、複数年計画でいくならばもっとハードルは下がると思います。極端な話、時間をかければ受かる試験だとも思います。逆にいえば、勉強時間を十分に確保できないとしたら、余程の天才でなければ受からない試験だとも思います。

つまり、合格のために必要なことを必要なだけやれるひとにとっては、中小企業診断士試験は決して難しい試験ではないということです。数字に恐れを抱く必要はありません。中小企業診断士になりたいという想いが芽生えた方は、是非挑戦してみてください。

なお、本ブログでは、今後オススメの勉強方法などについても触れてみますので、そちらも参考にして頂ければ幸いです。